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【まとめ記事】「病気の仕組み」を解明する ―体温の科学と冷え性対策の重要性―

AMEDに期待する「体温の科学」の普及

日本の周産期医療は、病気の診断学と治療学においては目覚ましい進歩を遂げました。
しかし、正常に生まれた赤ちゃんの病気(発達障害)、妊婦の病気(妊娠高血圧症・胎盤早期剥離など)を防ぐための予防医学の研究は全く進んでいません。
人間は恒温動物であるにもかかわらず、新生児の「体温調節の仕組み」、その体温調節を司る自律神経の特性、そして妊婦と赤ちゃんの「冷え性」を科学しなかったことが、近年の発達障害児・医療的ケア児・低出生体重児の増加につながっていると考えます。

「冷え性=未病」という視点に立った本提言は、これまで個人の体質や体感の問題として扱われがちだった「冷え」を、明確な予防医学の対象として捉え直すものです。体温の低下は血流や代謝、自律神経の働きに影響を及ぼし、妊娠期や新生児期といった極めて重要な発達段階においては、将来にわたる健康状態を左右する要因となり得ます。
赤ちゃんや妊婦の「体温を守ること」は、単なる生活上の注意ではなく、障害や疾病のリスクを未然に防ぐための重要な医療的視点です。この考え方が医療現場のみならず、家庭や社会全体で共有されることにより、周産期医療に新たなパラダイムシフトをもたらす可能性があります。

① 新生児の「冷え性」が発達障害を引き起こす可能性

  • 新生児は温かい子宮(38℃)から寒い分娩室(25℃前後)へ出ることで、急激に低体温症になります。
  • 医療現場ではこれを「生理的現象」と見なしてきたが、実は冷え性(末梢血管の収縮)が呼吸循環障害、消化管機能障害、低血糖症などの原因になり得ます。
  • 結果として、発達障害児や医療的ケア児の増加につながっている可能性。

② 「37℃」の罠:正常体温=安全ではない

  • 脳の中枢体温が37℃でも、足底などの末梢が冷えていることがあり、それは交感神経の過緊張状態。
  • 赤ちゃんを厚着させすぎると逆に「衣服内熱中症」を招き、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクになる。

③ 自律神経は体温調節を優先

  • 自律神経は「生命の安全(呼吸や循環)」より「体温調節(37℃維持)」を優先して働く。
  • 低体温から回復するための産熱行動(糖消費)によって低血糖が進行し、発達障害の原因になる恐れ。

④ 恒温状態の維持が健康の鍵

  • 深部体温と末梢体温のリズミカルな変動(収縮と拡張のバランス)が健康の指標。
  • 恒温状態の維持によって、嘔吐・黄疸・低血糖などが予防でき、健康な発育を促す。

⑤ NICU不足への対策として「温めるケア」

  • 出生直後の保育器管理(34℃)が冷え性を防ぎ、新生児病(適応障害)を予防。
  • これによりNICUへの搬送率も低下し、医療費の削減や人材の負担軽減にもつながる。

⑥ 妊婦の冷え性対策に「水中散歩」

  • 妊婦の約半数が冷え性で、妊娠高血圧症・胎盤早期剥離・低出生体重児の原因になっている。
  • 水中散歩」によって血流が改善し、妊婦の体調不良も緩和される。
  • 睡眠と運動(特に水中での運動)が冷え性対策の鍵。

AMEDへ期待すること

  • 「冷え性」は西洋医学では未研究の領域だが、万病の元であることは明白。
  • 体温調節を「病気予防の視点」から捉え直すことで、発達障害、SIDS、妊娠合併症などの予防に大きく寄与。
  • AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)にはこの「体温の科学」の普及と常識化が強く期待されている。

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